仮説思考を徹底する方法を考える

正直、仮説思考の本を何度か読み返してみて納得はしている。

ただ「腑に落ちる」ところまでは至っていない。まだモヤモヤ感があるのだ。

ここでは仮説思考を使い慣れるために「日常生活で仮説思考を鍛える方法」を考える。

まず、『仮説思考』*1が提唱している具体例から考えてみる。

So What?を常に考える*2

身の回りにある現象が起きたときに、それが意味することは何かと考え続けること。
  • 例:iPodの流行がどういう影響があるのか?
    • ウォークマン市場シェア減少、ソニーの業績悪化
    • アップルの業績回復、株価上昇
    • 音楽業界が変わる可能性、若者の携帯電話や飲食からの回帰

なぜを繰り返す

なぜを最低5回繰り返して仮説思考力を磨く
  • 例:なぜプロ野球ははやらないのか

1.なぜプロ野球ははやらないのか

2.なぜプロ野球はつまらないのか

    • スターがいないから(※こちらを深掘り)
    • ファンを楽しませる努力を球団がしていないから

3.なぜスターがいないのか

    • スターはメジャーリーグに流出してしまうから
    • 若い有望な選手がプロ野球に入ってこないから(※こちらを深掘り)

4.なぜ若い有望な選手がプロ野球に入ってこないのか

    • プロ野球の給料が低いから(事実ではないことはすぐわかる=検証できる)
    • サッカーなど魅力的なスポーツに若者が向かっているから(※こちらを深掘り)

5.なぜサッカーが若者を引きつけるのか

    • Jリーグが魅力的だから
    • 中田英寿や中村俊輔がヨーロッパで活躍しているから
    • ワールドカップがあるから
    • 世界中のチームに移籍できる可能性があるから

以上からプロ野球がまねをできそうな打ち手を考える

    • 地元密着のスポーツに転身すべき
    • セパ交流戦のようなシーズン途中での日米プロ野球相互乗り入れ

日常生活の中で訓練を繰り返す*3

日々の出来事から将来を予測
  • 例:新聞記事から考える(○○工業の決算が史上最高益を更新した)
    • 新聞記事で報じられている事象から、なぜそうなったかという仮説=原因仮説を考え、それを検証してみる。

仮説1.業界全体が好調

    • 他社の利益はどうか?

仮説2.日本経済全体の回復・好景気

    • 日本企業全体の経常利益はどうか?

仮説3.売上げが伸びた→なぜ伸びたのか?

    • 新製品の伸び? 既存製品の伸び? 新規事業の伸び?

以下略。まず仮説を立て、その後で情報を集めて(会社四季報、インターネット)仮説を検証する。

  • 例:テレビの話題から
    • 韓流ドラマがはやった理由の仮説を考える

<韓国側の理由を考える>
仮説1.韓国俳優が日本女性の心をつかんだ(流行)
仮説2.純愛というテーマが日本時勢にフィットした
仮説3.韓国のテレビドラマのつくり方が日本とは違う(テンポがゆるい、家族がよく出てくる、など)
(以下略)<日本側の理由を考える>
仮説1.日本のテレビドラマがワンパターンで飽きられ始めている
仮説2.日本に中高年女性向けの良質のテレビドラマがなかった
仮説3.日本の時代背景:日本のような下り坂の国のドラマより、韓国や中国のような勢いのある国のドラマが受ける


  • 韓流ドラマに視聴率を取られた日本のテレビ局が衰退する
    • →考えにくいシナリオ。いくら韓流ドラマがはやったとしても、全体の中では一部の時間帯にすぎない。また日本人全セグメントに受け入れられているわけではない。
  • 今後韓国以外にも台湾、中国、シンガポール、タイなどアジア各国のドラマ・タレントがブームを呼ぶ
    • →自分にビジネスチャンスはあるのか?
  • 日本のテレビドラマのつくり方、はやるタレントが大きく変わる
    • →どんなドラマ、誰がはやりそうか当たりをつける。2〜3年後には検証できる。

*1:内田和成著 2006年

*2:同著 P196

*3:同著 P201