仮説思考を徹底する方法を考える その2

仮説思考を定着させるここまでの気づき

1.仮説は文字に落とさないとダメ
  • どんな仮説でも、あるいは仮説を検証するにしても言葉にして明確にするのが第一。

これは安宅和人氏も同様な事を述べている。

イシューを言葉で表現することではじめて
「自分がそのイシューをどのようにとらえているのか」
「何と何についての分岐点をはっきりさせようとさせようとしているのか」
ということが明確になるからだ。(略)
イシューと仮説は紙や電子ファイルに言葉として表現することを徹底する。(略)
なぜ言葉にできないのかといえば、
結局のところ、イシューの見極めと仮説の立て方が甘いからだ。*1

2.仮説の検証を容易にするためにブログは有効
  • 継続的に仮説検証を行うためにはブログなどに発表するのが有効。記録としてもアウトプットとしても。

『仮説思考』からの続き

ただし自分が理解できるように省略しているので留意して欲しい。

  • 職場の話題から
    • 気に入らない上司に当たったときにどう処すべきか?
  • 家庭の話題から
    • 近所のはやっているレストランと、はやっていないレストランの違いは何か?
    • 自分がそのレストランのオーナーだとしたら、何を変え、何を変えないのかとアクションプランを立て、提案につなげてみる。

内田氏は買い物をするときに、その場で自分なりの仮説を立て店員に聞いてみる(検証する)、ということをよくやる。

  • 友人との話題から
    • ゴルフの上手下手とドライバーの飛距離には相関関係があるという仮説をどうすれば検証できるか考える
信じていない仮説の正しさを証明する
  • ダイエーの例
    • 自分が信じている仮説とあえて別の仮説の立証を試みる。
    • 本来の自分であれはそれにどう反論するか。

レーニングの基本は、仮説の幅を拡げ、検証しSo What?で深く掘り下げること。

実際の仕事の中で訓練する*2
  • 相手のメガネをかけてものを見る
    • 相手の立場で考える
  • 上司の意思決定をシュミレーションする
    • どの選択肢を選ぶか、その理由は何か、を考える

最後に

大きなストーリーが描けるようになる、というのも仮説思考の特徴だが
象徴的な話が「実験する前に論文を書く」*3である。
少し長くなるが引用する。

「ある時などは、私が次にこういう実験がしたいといったら、実験を始める前に論文を書けという。
ご冗談でしょうといったら、ランドシュタイナーはいつもそうしていた、今のお前にはそれができるはずだというのです。
仕方がないので、先生の言葉にしたがって、予測のもとに論文を書いてから実験をしましたが、これは大変なアドバイスだったと思います。
書いてから実験をすると、結論を出すために必要な対照は完璧に取れることになりますから、期待どおりの結果が出なかった時でも、その実験は無駄にはならない。その当時は、抗原抗体結合物の仕事もポピュラーになり、大きなグループがわれわれを追いかけてきていましたから、失敗などはしていられない状況でした。
要するに、キャンベル先生は、仕事が軌道に乗った時、競争に勝つ方法を教えてくれたのです。

ここで重要な点が赤字部分である。

  1. 仮説思考とは、課題を分析して答えを出すのではなく、まず答えを出し、それを分析して証明すること。
  2. 仮説を構築した上で具体的な作業を進めるほうが、スピーディーで、かつ質の高い答えに到達できる方法であること。

また、大事な事は仮説検証を素早く繰り返すことである。

*1:『イシューからはじめよ』 P50

*2:同著 P211

*3:同著 P43 免疫学で著名な石坂公成先生と恩師であるダン・キャンベル先生との回想

仮説思考を徹底する方法を考える

正直、仮説思考の本を何度か読み返してみて納得はしている。

ただ「腑に落ちる」ところまでは至っていない。まだモヤモヤ感があるのだ。

ここでは仮説思考を使い慣れるために「日常生活で仮説思考を鍛える方法」を考える。

まず、『仮説思考』*1が提唱している具体例から考えてみる。

So What?を常に考える*2

身の回りにある現象が起きたときに、それが意味することは何かと考え続けること。
  • 例:iPodの流行がどういう影響があるのか?
    • ウォークマン市場シェア減少、ソニーの業績悪化
    • アップルの業績回復、株価上昇
    • 音楽業界が変わる可能性、若者の携帯電話や飲食からの回帰

なぜを繰り返す

なぜを最低5回繰り返して仮説思考力を磨く
  • 例:なぜプロ野球ははやらないのか

1.なぜプロ野球ははやらないのか

2.なぜプロ野球はつまらないのか

    • スターがいないから(※こちらを深掘り)
    • ファンを楽しませる努力を球団がしていないから

3.なぜスターがいないのか

    • スターはメジャーリーグに流出してしまうから
    • 若い有望な選手がプロ野球に入ってこないから(※こちらを深掘り)

4.なぜ若い有望な選手がプロ野球に入ってこないのか

    • プロ野球の給料が低いから(事実ではないことはすぐわかる=検証できる)
    • サッカーなど魅力的なスポーツに若者が向かっているから(※こちらを深掘り)

5.なぜサッカーが若者を引きつけるのか

    • Jリーグが魅力的だから
    • 中田英寿や中村俊輔がヨーロッパで活躍しているから
    • ワールドカップがあるから
    • 世界中のチームに移籍できる可能性があるから

以上からプロ野球がまねをできそうな打ち手を考える

    • 地元密着のスポーツに転身すべき
    • セパ交流戦のようなシーズン途中での日米プロ野球相互乗り入れ

日常生活の中で訓練を繰り返す*3

日々の出来事から将来を予測
  • 例:新聞記事から考える(○○工業の決算が史上最高益を更新した)
    • 新聞記事で報じられている事象から、なぜそうなったかという仮説=原因仮説を考え、それを検証してみる。

仮説1.業界全体が好調

    • 他社の利益はどうか?

仮説2.日本経済全体の回復・好景気

    • 日本企業全体の経常利益はどうか?

仮説3.売上げが伸びた→なぜ伸びたのか?

    • 新製品の伸び? 既存製品の伸び? 新規事業の伸び?

以下略。まず仮説を立て、その後で情報を集めて(会社四季報、インターネット)仮説を検証する。

  • 例:テレビの話題から
    • 韓流ドラマがはやった理由の仮説を考える

<韓国側の理由を考える>
仮説1.韓国俳優が日本女性の心をつかんだ(流行)
仮説2.純愛というテーマが日本時勢にフィットした
仮説3.韓国のテレビドラマのつくり方が日本とは違う(テンポがゆるい、家族がよく出てくる、など)
(以下略)<日本側の理由を考える>
仮説1.日本のテレビドラマがワンパターンで飽きられ始めている
仮説2.日本に中高年女性向けの良質のテレビドラマがなかった
仮説3.日本の時代背景:日本のような下り坂の国のドラマより、韓国や中国のような勢いのある国のドラマが受ける


  • 韓流ドラマに視聴率を取られた日本のテレビ局が衰退する
    • →考えにくいシナリオ。いくら韓流ドラマがはやったとしても、全体の中では一部の時間帯にすぎない。また日本人全セグメントに受け入れられているわけではない。
  • 今後韓国以外にも台湾、中国、シンガポール、タイなどアジア各国のドラマ・タレントがブームを呼ぶ
    • →自分にビジネスチャンスはあるのか?
  • 日本のテレビドラマのつくり方、はやるタレントが大きく変わる
    • →どんなドラマ、誰がはやりそうか当たりをつける。2〜3年後には検証できる。

*1:内田和成著 2006年

*2:同著 P196

*3:同著 P201

仮説思考とエクセルマクロの共通点

仮説思考に関する著作は多い。

本書もその1冊
イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」
本の詳細は省くが、結論を出すためにいろんな仮説思考を見てみると、共通する点は以下のとおり。

1.「何に答えを出す必要があるのか」という議論からはじめ、
2.「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計する。


上記のやり方が、結果を生み出す最短のアプローチというわけだ。

一方、エクセルマクロ。
1.「どういう機能をさせたいか」
2.「そのためにどういうステップで行うか」
という流れで行う。
まず、「求めたい答え/機能」を明確にしてから、「分析/入力」を行う。

構造としてはよく似ていると思う。

アウトプットをいかに高めるか

気づくと自分の退職まで、あと10年。

これまで多くの本を読み、経験もそれなりに積んできた。

しかしアウトプット(=広義の意味での生産)はどうだろうか?

意味のあるものだったのか?もっと効率的にできなかったのか?

改めてBlogで整理したい。